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「さいごの戦い」

  • 執筆者の写真: naitou
    naitou
  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

さっき、梅雨入りしたとかしないだとかで、今日はいちにち家にいる方向でいます。

夕飯何作ろう?

微熱とめまいがひっそりと続いています。

ネルネルは窓辺でまどろみながら、外をながめています。


小雨の中、かすめてゆく過去の記憶は6月の吉祥寺。

自分にとって「さいごの戦い」になることの覚悟はしていました。


その頃、いつもかばんの底に持ち歩いていたのは、みっつ。

「さいごの戦い」に耐え得るよう。

 *佐藤さとる「誰も知らないちいさな国」の文庫本

 *フランチェスコクレメンテの絵ハガキ

 *山田さんのソロCD


「誰も知らないちいさな国」の文庫本は、古本屋さんで見つけたものだったのだけど、昔10歳で広島を出る時に、大好きだった子がくれたのと同じやつだったから。

フランチェスコクレメンテの絵ハガキは、今はもうない池袋のセゾン美術館で94年に買ったもので、そのハガキの絵そのものは現在のネットなどで探してもほとんど出てきません。でもきっと、その優しい水彩のにじみ、向こう側が見えている目つき、涙。その色合いに見えたものが当時の私を守ることができると思っていたから。

山田さんのソロCDは「Pilgrim」。その時期、最後の最後にいた私を、無事に調律してこの雨の日々にも毎日無事におくりだしてくれていました。このアルバムの持つ、あるたぐいの人々に寄り添う力とまなざし、それは静かでとても強いものだと思っています。今でもその出だしのピアノと歌声を聴くと、なにもかもに透明な気持ちでただただ雨空を見上げていた劇場前の昔の自分が少しだけよみがえることがあります。


「さいごの戦い」とはナルニアの最終章のタイトルなのだけど、

子供の頃ずっとナルニアを図書館で読んできて、最後がこれだったのでその強力さというか「そう来たか…」という急に視野がぐわっと開けたような、逆に全力で世界を閉じてゆくような、ひとことでは説明しがたい気持ちで読み進めたのを覚えています。

(ちなみにナルニアの映画は私は全く観ていません。子供の時の読書ですでに自分の中でその世界が成立していたので、映画の中にある世界に違和感を感じてしまったら悲しいから)


ずっとひとり、もしくは猫だけがそばにいたとして。

こういう時間はきちんと私をはぐくんでゆく。昔も今も。


 
 
 

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