
お料理の本をめくっていてふと、
「パンデビス」のことを、ずっと
「バンビデス」と読んでいたことに今さら気づく。
「バンビです!」って。
小鹿かよ。
そりゃないよ。
ちなみに「パンデビス」とは、フランスの伝統的なスパイスのお菓子で、こういうの好き!と思って頭の片隅に以前からひっかかっていたものです。
自分では作れなくっても、どこかで気軽に手に入ったらいいなとか思っていました。
「バンビ」ときたら、なんとなく頭に浮かぶのはまあもちろんかわいらしい「小鹿」の姿ではあるのだけど、あれ、学生の頃読んでた中島らもさんの文章に時々神戸のジャズ喫茶の「バンビ」って出てきたな…なんてこともちょっと思い出したりして。
そいで今はもう見かけない「ぴあ」を私は毎週熟読していた大学生だったので、昼休みにふと「あ、今リリパットアーミー(中島らもさんのやってらした劇団)やってるんだ…5限は出なくても大丈夫そうだから今から下北へ向かえば間に合う!」だとか急に思い立って駅へと急いだりしたこともあったなー。なんてね。連想ね。
今はもうないセゾン美術館。ずっとだいじに卒論ノートに貼っていたフランチェスコクレメンテのポストカード。その上の西武デパートの中、西武池袋の演劇ワークショップに何度もお世話になってたくさんの大切な出会いをしたこと。リブロの奥深くにあった詩集の書店「ぽえむぱろうる」に通いつめて、いつか自分もこういうところに置いてもらえるような本をつくりたいと心底願っていた日々。友人が借してくれた「演劇ぶっく」の初期バックナンバーをコンビニでむちゃくちゃコピーして読みこんだこと。カクスコと南河内万歳一座と東京サンシャインボーイズは必ず行くようにしていたシアタートップスの純粋な密度と厚み。渋谷のジアンジアンに並ぶ路上で聴く、上の教会のクリスマスの鐘。六本木って言ったらもちろん、シネヴィヴァンとWAVE。パルコ劇場になんとかもぐりこんで初めて観たつか芝居「リングリングリング」千秋楽。19歳くらいからの親友の岸さんが出た遊園地再生事業団を花を持って観に行った日。大きな台風の翌日、双数姉妹「ハクチカ」の美しいオープニングに息をのんだ恵比寿イーストギャラリー。気軽に稽古帰りに観に行く早稲田6号館スペース5アトリエ。いつも200%くらいの日々だったように今では思う早稲田どらま館。
はたちから25歳くらいまでの自分に溶け込んだ、無数の景色。
今は、自分の来し方のことを、いつかちゃんと書いておくことがあるのかもしれないとは思っています。自分のためだけにね。
ただ自分では、実際に自分の劇団活動が活発になりのちに痛々しいくらいけんめいになってゆく2000年代以降よりかは、ただただサブカルにめざましかった90年代の頃のことのほうが思い出していても書いていても自分が楽しいし出てくる人もできごともかわいらしく風化されていて、それはそれでだいじにしておかなくちゃならない歴史だなともわかっています。
今の毎日は、おだやかで、でも自分の心のどこかがぴんとしていて、とてもいい。
今作業している自分の新作詩画集を描いてゆく作業はもしかしたら予想以上に時間と気持ちがかかることになるかもしれなくて、でもそれだけのものはつくれるとちゃんとわかっている。
ということで、今日はもうネルネルを枕に眠ることにします。
バンビです!
…おやすみなさい……
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