いつも、帰宅したらひといきついて、さて夜は長いしビールでも飲んでゆっくり考えごとをしたり、ものごとをととのえたりしようかなあなどと、思っているわけです。
作りかけの羊毛や、ライブの編集作業、またはお料理だけの夜もありかもしれない。
何度も読んでいるぼろぼろのお料理本をめくりながら、台所のテーブルにてそんなぼんやり感を楽しんでいると、ふと隣室からネルの呼ぶ声がします。
「りえちゃーん。もう寝まちょうよー。もうおふとんあっためてまあす。ねー、りえちゃんたらー」
私の枕元の定位置にまるまって、暖房のリモコンを前にあまったれたちいさな声で私を呼び続ける黒猫に、かなりの確率で負けること、しばしば。
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