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スターパインズカフェの2階で、物販と、ご挨拶&サインの列に並ぶ時、いつも初めてここに来た時のことを思い出す。
2000年代前半か、なかばだったかのような。
それは自分で何か観に行ったというより、演劇界から音楽界に移られた、近しい劇団の元制作のかたに、呼んでいただいたお仕事だったような。
ご出演のバンドとバンドの合間のコント的出し物風演劇として、私の携わっていた劇団の人二人が呼んでいただいたので、制作&マネージャーとして、私もそちらに出向いたのでした。
関係者席ということで、二階席の途中をご案内いただいたのですが、でもまあそこから後のことは、正直、あまり覚えていません…。
何をやっても受けなかった、いや、そもそも、ほとんど観ている人がいない気がした…というのが、正直なところです。
遠い記憶なのでさだかではありませんけど。
ここ何年か、自分でそのスターパインズカフェに通うようになって、いつも一階席の前方にお席をとるようにしていて、
昔仕事で来たことあったっけななんて思い出したものつい最近の話で。
劇場やライブハウスやなんか、どんなにちいさくてもたくさんのかたを集める空間に赴くと、いつも思うのは、そこにどれだけの人々や場面が、強い思いをかけてすごしたかということです。
そこには、かつての声も音も、熱量も光も、お客さんの拍手も笑い声もすべて、目に見えないかたちで在り続けていて。
ちゃんと、その残像も世界も、しっかりと焼き付けてすごしていることがわかる空間は、とても居心地がいい。
空間が育ててくれている奇跡というものを、もう何度も間近で観てきました。
私が永遠に頭があがらないのは、青春期をすごした下北沢の駅前劇場と、早稲田のどらま館であって、空間と一緒に育ってゆくもしくは育ててもらっている感覚をまのあたりにしていました。
そんな日々もあったよな。
スターパインズカフェは、シアタートップスにどこか似ているなと、自分の感覚ではいつも思っています。
壁の質感、タッパとステージの間隔、適度な熱量とクールさのバランス、そして届く思い。
いつも何か、観たそうなものをやっているところ。
去年だったかな、GOMESのライブの開場前にスターパインズカフェの前に並んでいると、通りすがりの男性が
「ここ今日なにやってんの?」みたいに看板を見上げてまた歩いてゆく背中に
「あ」と思いました。
昔、もう20年くらい前、何度か仕事でお世話になったバンドマンの方でした。
当時の、夜中のうちあわせのココスとかデニーズとかの景色がいっぺんに思い出されました。
声はかけなかったけど、受付をすませてにぎわう客席にひとり落ち着いて、開演前のステージを見つめた時に、
「あの人は、今も、歌っているのだろうか」と、
ちょっとだけ思いました。
今、スターパインズカフェの2階席から見る景色は、とてもいい。
1階席派の私ではあるけれど、
ああ、ちゃんと、たくさんのかたがたが年を景色を、ここにひとつひとつ刻んでらしたんだなと思う。
思い出はすべて、今日の今聴いた歌声とともに、夜空に優しくたちのぼってゆく。
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