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「荒地詩集より 『Xへの献辞』」

  • 執筆者の写真: naitou
    naitou
  • 4月22日
  • 読了時間: 2分

大学三年の初夏に、卒業論文のテーマを谷川俊太郎作品と決めてから実際に論文を提出するまでの約一年半は、今思えばとても楽しくみっちりしたものでした。

ネットがほぼ存在しない時代や環境だったので、図書館と書店と古本屋をいくつもまわっては、自らの手でたくさんの本を開いてゆきました。


その頃は、若くて不勉強で、あとほんと生意気でしたね。

笑っちゃうくらいね。たいしたことできないくせにね。

今そんなやつが身近にいたら、ものすごくへこましたくなるか、逆にとてもひいきにするか。なんてまったくわかりませんけど。


当時は、谷川さんだけでなく、自分の好きそうなたぐいの本や、のちの興味をひきだしてくれそうな一文さえあれば、もうなんでもするすると読んでいきました。

演劇(主に小劇場)と映画と美術展にもできるだけ行くことにしていたし、そこで得たものは今もなお私をつくり続けているのだし。


『Xへの献辞』という文章には、その頃出会いました。

荒地詩集からのその『Xへの献辞』は、集める本や資料のところどころで、ちょっとずつ触れられていることが多くて、ずっとその存在が気にはなっていたものの、やっと全文を読むことができたのはもう少し先の話になります。

知らない時代の知らない文章。

<親愛なるX…>という何度かの語りかけで綴られた『Xへの献辞』は、学生だった私を深くはてなく考えさせ、そしてまた一歩前にすすませてくれたように思っています。


 
 
 

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