
息をつめて泣いていると、ふいにネルが起き上がって、背中で私の涙を一拭きしました。
そして、手を差しのべて言うのです。
こぐまちゃんのような、かわいい黒いむくむくのおててで。
「りえちゃんたら、泣いてないでぼくのにくきゅうでも押してなさーい」
さいですかいと、私はコーヒー豆によく似た黒猫の肉球を押してみました。
ぷに。ぷにぷに。
「ついでに指のあいだとお耳のうしろも、おねがいしまーす」
はいはいわかりましたよ。
ぷにぷに。ごろごろ。むしゅむしゅ。ごろごろ。
そうこうしているうちに、なんだか涙もおさまってきたようなので、今日はこのへんで、明日もいい日で、ごきげんよう。
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