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「記憶の記録7」

執筆者の写真: naitou
naitou
2 分前
読了時間: 4分


(順不同、日時不明)


 ◎月◎日


近いうちに、さざえ堂まで行きたくって。

本格的に雪が降る前にね。今年の冬は冷えるんだろうか。

以前、祖母のお葬式のあと、会津若松の駅から七日町まで歩いてみた。雪がそこらじゅうに積まれていてとても寒かったけど、歩けないほどじゃなかったから。

鶴ヶ城近辺も大好きなのだけど、七日町はまた風情のある建物やお店が不思議な感じに点在している素敵な場所で、少しずつ気持ちが溶けてゆく気がしてほっとした。

やがて新宿直通の電車を見つけて、会津からまたもくもくと現実に戻って行ったあの頃。

そこにはもう帰らない今の私。



 ◎月◎日


ある日の散歩中のこと。

通りすがりに楽器屋さんがあったので、ふらりと入ってみる。

ほとんど人がいなくて、併設された音楽教室への階段をあがってゆく制服の女の子の後ろ姿。奥には、リペア中なのかばらしかけの金管楽器と、受付の人らしき影が見えた。

店内をひとまわりしてから

「トランペットの練習用のプラのマウスピースって、ありますか?」

思いきってそう言ってみた。

「それ、あったかなあ…?」という表情をして奥にまわっていろいろ尋ねていた店員さんが、やがて楽器が並んだガラスケースじゃない方向に案内してくれました。

とりだして見せてもらったのは、めっちゃ軽いプラのマウスピース。ぺかぺかした、小学校の頃のなつかしい入門グッズ。


ずっと気になっていたんです。やっぱり。

私は自分の楽器を持っていなかったこともあって、もう何十年も吹いていない。もはや音が出るかもわからない。忘れた気持ちでいるほうが楽なことも多かった。

その程度の思いで、いきなり楽器そのものを購入するのは本当におそれおおいと感じていたし、じゃあまずマウスピースだけでもと思ってもやはりくちびるをつけるものだし自分だけの新品のほうがいいんだろう今の私は、でもいきなりBach(昔ずっと使ってた。部活を引退した先輩からお借りしてました)のは買えないですー…などなど逡巡した結果の、練習用プラ。

「これ、いただいていきます」

なにごとも、思い立った時がだいじ。そういう日だった。



 ◎月◎日


あれ、牛久大仏って、常磐線から見えたっけ?

一度だけ行ったことがあるけど、駅からけっこう遠かったよね…。

学生の頃だったかな、自宅でとっている新聞に折り込まれるチラシ(墓地の勧誘)に載っていた牛久大仏全体像は写真だったと思うんだけどまだ出来ていない部分は点線で描かれていました。完成してゆくにつれてそれが実写と実線に移り変わってゆくさま、けっこう長いこと見てたかも。

あと、子供の時、大船の観音は電車から見えたんだけど、行ってみたら胸から上だけだったのでそれもまたびっくりしちゃった思い出があります。いや、全身あるのかと思って行ったものだから。



 ◎月◎日


朝早く、まだ暗いうちに外に出たらかなり寒くなっていた。

少し先の公園まで、かんがえごとをしながら歩く。もう一枚なにか、羽織ってくればよかったよなんて思いながら。だいしっぱい。えへ。

途中で、ああこれじゃあ風邪をひいてしまうかもって気づいて、ポシェットに入っていた手ぬぐいを長く畳んで首に巻きこんだ。

コヤ入りの時、寒くなりかけた季節にはよくそういうふうにしてたな、とか、タオル派の人と手ぬぐい派の人がいたなー、とか、ぽこぽこ浮かんでは通りすぎてゆくどうでもよさげな昔の記憶。

初日あけて少しして、声が枯れる人が出てくると「明日のど注行くんで少し遅れる」「俺も今行っといたほうがいいかな」みたいなやりとりが定番だった頃もあって(もう何年か経つと、そういうケアは各自で自分に合う方法をとるようになったけど)、だいたいは中村橋にあるお医者さんに行ってたと思う。

早朝の冷えた空気に、そんなたびたびの景色いくつかや、うちあげ明けの寒い路地を思い出すことがある。



 ◎月◎日


寒くなってきたので、小さい鍋で湯豆腐。

ふたをあけると、湯気を目で追う黒猫。

そんなに不思議ちゃんじゃなくってよ。















 
 
 

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