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「みかえりネルネル」

  • 執筆者の写真: naitou
    naitou
  • 7月16日
  • 読了時間: 3分
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いちばん好きな時間帯のネルネル。

登校中の小学生たちが歩く姿をいつも窓からながめています。

今日はその時間は雨だったので、色とりどりの傘があちこちぶつかりながら動いていたようです。


先日、もよりの映画館で『BAUS』を観ました。

吉祥寺バウスシアターの話です。

私がバウスに行ったのは92年~94年くらい。

芝居を観に行ってたので、その頃は「ふだんは映画館なんだ?」と逆にちょっと驚いてたような記憶があります。

そのコヤのつくりや空間の使い方に、映画でも演劇でもライブでもいいんだ、っていうことがとても楽しげに思えて。そういう場所って、実はなかなかない。

バウスで何観た?という話を人と何度かしていて「私、<ビタミン大使ABC>と、初期の<大人計画>観た」というと、そのあまりの90年代さにおたがい笑ってしまったりね。

当時は千葉県柏市に住んでいたので吉祥寺はあまりにも遠かったし、その後自分の演劇活動が忙しくなってからはだんだん身動きがとれなくなっていました。


映画『BAUS』を観始めてすぐ

「予想してたのとちょっと違った…」

と思ったのです。

ううん、でもそれを全然こえて、いい映画だったんでした。

観る前はもう少し興行的なリアルなものを想像していたのかもしれません。この館がやってきた数々の興行についての(私はついそういうことを考えがちなのかも)。

ただ作品の底に流れゆく、なにかをなくすということ、家族の年譜、そのさまざまな厚みに、スクリーンを前に私はじっともの思いを重ねていました。

ちょっとマグリットの絵みたいな不思議な気持ちもかなしさも音楽もなにもかもが、ちゃんとまざってゆく儀式のようで、心の中で、見上げた空のどこかで、こういうことがいつか私にも誰にでもあったようにも思っています。


ずーっと流れるエンドロールを読むともなくながめながら、

ロケ地あっちだったかー。とか、あの役者さんの名前を知りたい。とか、そこ組んでるんだ?とか、今見た内容や空気をふりかえってみたり。

たくさんの曲名と演奏のかたたちのお名前も流れてゆくのですが、ふとGOMESの須藤さんのお名前を見つけて思わずにこりとしてしまいました。


外に出れば空は暗く高く、町の映画館からはたくさんの人がぞろぞろと散ってゆく。

ここで何かを観るということは、少なくともこのへんの人にとっては非日常ではなくて日々の続きなことに、私は毎回びっくりする。

どうあってもいい。

たくさんの思いを私はもうなくさないでいたい。


帰り道は、突然、足がつってしまってさあ大変!

ずっと同じ姿勢でいたのと、急な階段をトントン降りたのと(映画館は二階)、暑くて水分不足だったのとか、いろいろかもしれませんでした。

よろよろと踏切を渡って、よろよろと自転車をとりにいって、鯛焼屋の前で力尽きて動けなくなった自分に笑ってしまって、もう少しだけ夜空を見上げてみた私。














 
 
 

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