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「あの日の猫」

  • 執筆者の写真: naitou
    naitou
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

少し落ち着いたのか、すやすや眠っているネルコ。

私の足にやわらかい肉球をあててのびをしたり、ぷすぷすん…と寝息をたてたり。

今日はお弁当作っていたのにネルが気がかりで食べそこねたので、これはさっき撮った写真。


ネルが少しお腹ゆるめになっていたこともあって、病院へ行く日を検討中でいます。

いつも行っていたところがお休みが多くなってしまって、提携先の病院に行ったほうがいいかもとのこと。

でもその提携先の病院は、昔、前の猫が息を引き取ったところでした。

私はそれ以来、なるべくその道を通らないようにしていたし、もう10年以上経って、ネルを連れていったとして先生に「私、あの時…」という話をするのも今は気がひけるように思って。


前の猫が息を引き取った時、その頃は私の状態もすでにかなり底だった。それは数年続いていた底だったから、もうずっとこのままなのかなともひっそり思っていた。

前の猫の病状が悪化してゆくにつれて、私の気持ちももうどうしようもなくなっていった。

私はこの猫の、お母さんでも恋人でもないんだろうけどもうなんでもいい、ただ、元気になってほしい。

お願いだから。だれか。神様。

涙もあまり出なくなっていて、ちいさな悲鳴みたいな声で泣くばかりだった。


緊急の電話があって最後に病院に行った時、私が着いた直後に彼は息を引き取った。

どんなにくるしくてさみしかったかとおもう。

私が着いた時に、先生は彼に

「ほら…ママが来たよ」と優しく声をかけた。

その瞬間、私は「違う!」と思ったし、顔にはっきり出したのかもしれない。覚えていない。

私は彼のママだと、自分を思ったことはほとんどなかった。恋人か同志だと思っていた。いつも。ずっと。


やがて動かなくなった彼のそばにたたずむ私の後ろで、先生が脱力した声で

「おれも、未熟だなあー…」

とひとりでつぶやくのが聞こえた。

それは、彼を助けられなかった自分の医師としての力量のことなのか、それとも、最後の最後に私たちにそんな言葉をかけてしまった自分に対してなのか。

時々考える。今でもわからない。時々考える。それはこたえを聞く気はない。


出会った時から、ケガをしていた。

出血している猫をかかえて途方に暮れて、誰か、どうしたらいいのか専門的なことをわかっているひとか場所かに、はやく、はやく。

私の方が先に泣いていたことが多かった。

無力な自分を責めた。


今は、そばではネルがすやすや眠っている。

絨毯に倒れて、すやすや。しあわせかい。

今日は疲れちゃったのね。いい夢見ようね。目が覚めたら遊ぼうね。


元気でいてくれたらいい。それだけは願う。














 
 
 

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